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「年収300万円時代を生き抜く経済学」


  森永卓郎氏著
全291ページ
590円+税
文庫本

■この本を一言で表すと
「年収300万円以下の時代がくることを言い当てた本」


■何故この本を手に取ったか?
「年収300万円どころか年収200万円の若者を少なくない時代がきています。
これに対して、先見性のあると思われる本書の内容は
基本的なものとして知っておかねばならないだろうと思ったから」


■流れ
日本に明確な階級社会ができる

年収格差が広がり、年収300万円が主流となる

年収300万円でも幸福にくらす工夫



■レビュー■
『大人になってからアメリカに行くと、
迎えるアメリカ人は露骨な人種差別をしてこない』(P. 16)
アメリカ人は本音と建前を日本人以上に使い分けます。
社会的に差別はないことになっています。
本音は知りませんが、差別する人は程度の低い人
という認識が世界に広がっていることや、
大人になってアメリカに来る日本人には
社会的地位の高い人が多いため
人脈になる可能性が高いということもあって、
お客様として迎えられるのでしょう。
しかし、依然として人種差別は残っています。
日本にいるとそのことを忘れそうになるのですが、
それが現実なのです。
黄色人種国家の中で唯一、日本が先進国なのは
それを認めざるをえないほど技術が突出しているからです。
世界第二位の経済大国で、世界トップレベルの技術大国ですからね。
日本に本気で張り合えるのはアメリカかドイツくらいです。
過信はいけませんが、我々は自信を持っても良いでしょう。

バブルのころに何故、普通のサラリーマンまで
5000万円以上の住宅を買っていったのかと
いままで不思議に思っていたのですが、
『単に「来年になったらもう買えなくなってしまう」
という恐怖があった』(P. 26)
という説明が、理由の一つとして適切であると思います。

しかし、その一方で、
資産にもなるし、このまま地価が上昇すれば
損はしないだろう、という目論見もあって
多額の借金をしてまで住宅を手に入れたのも間違いないでしょう。

どちらにしても、数十年住むつもりでいるならば、
高い買いものではない、と当時の家を買おうかと考えていた人たちが
判断していたとしてもおかしくはないのです。

『いわゆる「勝ち組」になれるのは多くても1割だ』(P. 51)
日本人の中でも勝ち組、負け組に分かれていますが、
世界を見渡せば、日本人は全員勝ち組とみてよい状況です。
日本では、人口に対しての凶悪犯罪発生率が低く、
また餓死者も極端に少ないからです。
肉体的にも精神的にも、
決して楽な暮らしができるわけではありませんが、
生命の危険という面を見れば、比較的恵まれているといえます。

『デフレはインフレよりもはるかに怖いのだということを、
きちんと経済を勉強した人以外は、なかなか理解できない』(P. 59)
今の日本は確実にデフレ傾向にあります。
しかし、政府がなかなかデフレ対策をとらないのは、
インフレに振れるのが怖いからです。
バブル崩壊後の経済的ショックのイメージが強すぎて、
日本人は、みんなインフレに神経質になっています。
だから、デフレの方がまだマシだと思ってしまうのでしょう。

『アメリカの階級社会の大きな特徴は、
社会的地位とお金とが正比例しているということだ』(P. 80)
アメリカでは、
社会的に成功すれば、お金が稼げるし、
経済的に成功すれば、社会的地位が上昇するため、
どちらかで成功すれば、いずれどちらも手に入るのです。

しかし、日本では、たとえば国立大教授は年収1000万円くらいです。
十分高い金額ですが、教授クラスの人材ならば、
民間にいけば、普通に1000万円以上稼ぎます。
そういう事で、社会的地位と収入が比例しないといえます。

私には、人口比から考えて、
社会的地位と年収1000万円というステータスは、
十分幸せであると思いますが、
その立場になれば、不満に思うこともあるのでしょう。
人間の欲望には限りがないですからね。

『親の経済力、年収階層の差が、
そのまま子供の学力差となって表れてくる』(P. 100)
この指摘が正しいことは、もう誰も反論しないでしょう。
塾に子供をやるだけの余裕のない家庭が
ゆとり教育で学習する権利をじわじわと剥奪されていく中で、
経済的余裕のある家庭は、
塾などでの学校外での学習に余念がなかったのです。
これでは、塾にいかない子供の中で
よほど明確な目的がある子供以外は、
学力が下がって当然でしょう。

『「外資系」「転職」「ステップアップ」の幻想』(P. 108)
『アメリカ人ビジネスマンに聞いてみると、
日本がうらやましいという声が意外に多い』(P. 113)
アメリカ人が起業したり、転職をするのは、
そうすることしか生活が守れないという側面もあります。
日本のように、一度就職したら一生安定した雇用と所得が保証されるなら、
彼らもそこに入りたいというのだそうです。
灯台下暗し、隣の芝生は青く見えるものです。
日本人には、日本の良さがよく分かっていなかっただけでなく、
アメリカの方が必ず良いはずだと、思っていただけなのかもしれません。

『東大に入って、いちばん身にしみたのは、
世の中には頭の良い人たちがいるものだなということだった』(P. 249、250)
著者によれば、入学者の一割ほどは、
ずば抜けて頭の良い人たちだった、そうです。
これはその通りであると思います。
はっきりいって、彼らにそう簡単に太刀打ちなどできません。
これは、一緒に実験でもして、レポート書いたり、
数学の授業に出て課題をこなしてみないと、
実感として、よくわからないかもしれません。
一般に、頭のいい人たちは軟弱である、という
誤った認識がされていますが、彼らは驚くほどタフです。
受験を乗り切るために、一日10時間以上机に向かうのは
腕力は知りませんが、相当な体力がなければ無理です。
頭脳明晰で努力するし、タフである。
人生懸けても簡単には勝てないですよ。

だから、彼らの行かない道に敢えて進むのも
戦略の一つとしては良いものです。
著者は、もともと理系なのにいまでは文転して
経済学関連の分野にいき、独協大学の特任教授です。
本書もよく売れて、有名になってしまいました。

人の行く、裏に道あり、花の山

ということです。
何も今いる分野に固執することはありません。
今のスキルを他の分野で活かせないだろうか、と
常日頃から考えておくのが良いと思います。


■反論・誤植・注意点など■
著者の話にいくらかの矛盾があるように感じます。
『金持ちは安全な物を食べ、
低所得者層は危ない物を食べさせられるようになるだろう』(P. 104)
と言っていますが、
300万円でもくらせると
安く生きる生活をすれば問題ないともいってます。

さらにいえば、様々な著作やネット上などで、
「森永氏の年収は300万どころではない」と指摘されています。
それは著者自身も認めていることです。
『パフォーマンスされると、
ついつい自分たちの味方だと錯覚してしまう』(P. 60)
小泉元首相も、田中真紀子元議員も
庶民の立場で物を言う人であると勘違いしている人が多かったですが、
あれはパフォーマンスです。
だって、彼らの立場は庶民じゃないのですから。
そして、著者自身も、もはや庶民ではありません。

単行本が37万部も売れたそうで
一冊150円の印税をもらったとしてそれだけで
単純計算で5550万円の収入があることになります。
さらに、独協大学の教授にもなっていますので、
社会的地位も手に入れています。
年収も一千万円は下らないでしょう。
著者は年収300万円の人側に立っていますが
立場は圧倒的に違います。
著者自身が正直にも指摘しているとおり、
その点を読者は理解しておくべきです。

とはいえ、
著者にとって
お金持ちの人たちよりも年収300万円の人たちとの
会話の方が面白いというのは嘘には思えませんでした。
話す内容の詳細をみて
この人は本当に300万円で生きる節約生活を
楽しんでいると感じました。
もともとお金持ちだった人ではありませんので、
庶民の感覚を知っているのだと思います。

『年間総実労働時間は、日本人1942時間』(P. 120)
もういい加減突っ込むのが面倒になってきましたが、
一応、書いておきます。
一日8時間労働土日祝日を休みとして考えると、
年間およそ120日の休みがありますので、
8時間×245日=1960時間
一年間ずっと、残業一切なしで働いている日本人って
一般的だとは思えませんよね。



■最後に■
年収300万円時代、という言葉が
衝撃を持って世間に受け入れられてから早5年経ちました。
とてもびっくりなことに、すでに現実になってしまいました。
それどころか、年収200万円の若者が多く、
ひいては、少子化の原因になっています。
5年でこれならば、あと10年もたたないうちに
本格的に二極化することは避けられないでしょう。
庶民にとって、
這い上がる最後のチャンスが今しかないことは明白です。
これ以上の格差がつけば、もはや挽回は無理でしょう。
貧困が世代を超えて受け継がれるだけです。




■評価■


点数合計 16点/30点満点

(1)読みやすさ 3点 
ふつう

(2)情報量 3点 
60-120min

(3)成長性 3点 
年収300万円の話のみならず、
それ以外にも参考になるところがたくさんある

(4)実用期間 1点 
すでに年収200万円時代

(5)インパクト 1点 
二極化の傾向は、すでにみんなが実感している

(6)信頼性 5点 
著者の予想通り年収300万円がめずらしいことではなくなった

レビューNo.0102
評価年月日:2010年9月22日



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