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「国家の品格」


  藤原正彦氏著
全192ページ
680円+税
新書

■この本を一言で表すと
「真の国際人とは母国語を十分に学んだ者であり、
国家は人材を育む環境を維持することで高い品格を持つに至る」


■何故この本を手に取ったか?
「発売当時ベストセラーだったので」


■流れ
論理の限界

自由と平等の欺瞞

日本の特徴

武士道精神の大切さ

国家の品格


■レビュー■
『帝国主義や植民地主義には、きちんとした論理が通っています』(P. 21)
それゆえに当時、帝国主義に異論を唱える人はいませんでした。
論理さえ通れば何をしてもいい、ということになると、
世の中は大変恐ろしいことになってしまうでしょう。

『どんな論理であれ、論理的に正しいからといって
それを追及していくと、人間社会はほぼ必然的に破綻に至ります』(P. 35)
論理は大切ですが、それだけを突き詰めていくと、必ず限界がきます。
論理は万能ではないのです。

『最も重要なことは論理で説明できない』(P. 45)
完全無欠と思われていた数学においてさえ、
正しいか謝りかを判定できない「不完全性定理」というものがあります。
これが論理が完全でない理由のひとつです。

『「人を殺してはいけない」ということだって、
論理では説明できません』(P. 46)
『「駄目だから駄目」ということに尽きます。
「以上、終わり」です。論理ではありません』(P. 47)
問答無用でいけないことはいけないということ。
これが最も重要なことです。
政府が「どうして人を殺してはいけないんですか」という子供の質問に
まともに答えられずに「現在、人を殺してはいけない理由を作成中」と
言っていたこともありましたが、哲学ならともかく、
子供への教育という観点から言えば、駄目なものはダメ!と
強制すべきなのです。
そうでなければ、論理が通れば人を殺して良いことになってしまいます。

『徹底した実力主義も間違い』(P. 25)
日本は現在、かつてないほどの実力主義社会になってきました。
これは止められない流れであると思います。
その結果、格差が生まれてしまうことになり、貧困階層を生み出します。
(山田昌弘氏著「希望格差社会」参照)

その結果、閉塞感が蔓延してしまったら、
独創的な発想をできるはずの多くの人材が
日本に生まれてくることはなくなるでしょう。
なぜなら、その日に食べるものすら事欠く者たちが、
芸術や学問に勤しむ間も気力も持てないからです。
日本はやがて一割の勝ち組と九割の負け組に分かれるでしょうが、
そのとき、現在のような多様な文化を維持し続けられるか、というと
格差が極端にひどくなった時点で無理、と言わざるを得ません。

『実力主義に反対する人はほとんどいない。カッコ悪いからです』(P. 25)
実力に応じてきちんと報酬を出すことは絶対に必要です。
しかし、それを徹底させすぎると、格差がうまれてしまいます。
戦後の日本が極端な格差社会に陥らなかったのは、
社長と社員の給与の差が、約七倍程度という格差の低さや
累進課税制度に原因があるものと思われます。
もちろん、これらは仕事のできる人たちの意欲を削ぐため
いいことばかりではありません。
ですが、欧米のようにCEOと社員の給与が数百倍の差となれば
従業員からしてみれば、まともに働くのがばからしくなってくるそうです。
極端な格差は、今度は従業員の仕事への意欲を削ぐ結果となるのです。

『「卑怯」を教えよ』(P. 63)
『卑怯を憎む』(P. 128)
子供たちに万引きしない理由を尋ねたとしましょう。
その答えが「法律違反だから」という回答は最低であると著者はいいます。
なぜなら、法律で罰せられない状況になれば、
つまり誰も見ていなければ、そういう子どもたちは万引きするからです。
しかし、万引きをすることを卑怯だからしない、という子どもは、
誰かに見られていようがいまいが、万引きをしません。
財布をおとしても返ってくる国は日本くらいだそうです。
他の国では財布の中身を抜いて、財布をゴミ箱にいれて終わりです。
しかし、日本人はそんなことをしません。(一部の人を除いて)
それはやはり、ねこばばは卑怯だ、と多くの日本人が思うからです。

『国民は永遠に成熟しない』(P. 83)
「国民は賢くもあり、愚かでもある」といわれます。
実際のところ、戦争を起こす原因となるのは、
政府の暴走なんかよりも、世論に踊らされた民衆の暴走のせいです。
戦前では、朝日新聞が散々、開戦路線の記事を書きたて
国民を煽っており、軍部はこれを無視できなくなりました。
いまは軍部の暴走によって開戦したと教科書などで教えられていますが、
それは嘘です。
ここで詳細は述べませんが、
時代背景、世界情勢、日本の立場や当時の記事などを考えると
そういう結論に至ってしまいます。

よって成熟しないために、国民がマスコミに扇動されることはあり得ます。
それは当たり前のことです。
社会には成熟した人もいれば、未成熟な若者もいます。
社会はその性質上、成熟することはできないでしょう。
では、どうすれば良いのか。
解決策として
『「真のエリート」が必要』(P. 83)
であると著者は主張します。

著者はこの真のエリートには条件がふたつあると言います。

一つ目は、文学、哲学、芸術、科学などの役に立たないような教養を
たっぷりを身につけており、それらを背景として
圧倒的に高いレベルの大局観や総合的判断力を持つこと。

二つ目は、有事の際には、国民国家のために
命を捨てる覚悟があること。

この二点だそうです。
いま我々が想像するエリートとは、かなり違いますね。

昔は、そのような真のエリートが日本にはたくさんいました。
なぜなら、旧制中学、旧制高校はそのような真のエリートを養成するための
重要な学校であったからです。
しかし、GHQのお達しで日本のエリート教育はなくなってしまいました。
これは明らかに日本の弱体化を狙ったものです。
なぜそう言えるのかと言いますと、
欧米はこの日本の旧制高校にあたるエリート教育機関を
いまもなお有しており、これからも存続させていくだろうからです。
自分たちは持っておいて、日本は廃止させるなんておかしいですよね。
ちなみに、日産のゴーン社長も、フランスのエリート学校の出です。
幼いころからエリート教育を一心に受けていらっしゃいます。
そういう人が欧米にはたくさんいるのです。

『初等教育で、英語についやす時間はありません。とにかく国語です』(P. 42)
『遠回りでも、これが国際人をつくるための最もよい方法です』(P. 42)
英語が話せることが国際人の条件ではありません。
というのも、英語圏にいて英語が流暢にしゃべれても、
国際人としての素養をまったく持たない人が大勢存在するからです。

明治初期に海外留学していた日本人はほとんどが下級武士の出でした。
彼らは、福沢諭吉、新渡戸稲造などの一部例外を除いて
肝心の英語さえもままならない状態であったのにも関わらず、
尊敬されて帰国しています。
その彼らの身に着けていたものは何か、
それは日本の古典、漢文、武士道精神をしっかり身に着けていた。
この三つで尊敬されて帰ってきたのです。(P. 146)

『英語の実力がアメリカ人の五割、
日本語の実力が日本人の五割という人間になります。
このような人間は、アメリカでも日本でも使い物になりません』(P. 144)
『少なくとも一つの言語で十割の力がないと、
人間としてのまともな思考ができません』(P. 145)
英語を勉強してはいけないというわけではありません。
もちろん英語ができる方がいいに決まってます。
ただ、英語ができないから国際人ではない、
というわけでないということです。

それでは何が我々日本人の特徴であり、売りであるかと言いますと、
『日本人が有する最大の不偏的価値は、美しい情緒と、
それが育んだ誇るべき文化や伝統なのです』(P. 139)
とあるように、日本固有の文化や考え方です。
国際社会では、多様性が容認されます。
そういう中で、日本人が必死で欧米人の真似をしても、
滑稽な姿として相手の目に映るでしょう。
何人か?と聞かれて、「地球人です」と答えた人もいるらしく、
本人はグローバリズムを表に出したかったのでしょうが、
欧米人からしてみたら、こういう答えをする人は、
新興宗教かテロ組織の人間の類と勘違いされるようで
かなり気持ち悪い存在になります。

尊敬される国際人は、まず自分の国を誇りに思っています。
幸い、我々日本人は世界に誇れる独自の文化を多数持っています。
『日本は有史以来、ずっと「異常な国」なのです』(P. 180)
天皇の家系図は神話の時代から繋がっており、
その時から日本という国は連綿と続いているのです。
こんな国は世界に日本だけです。

たとえば、4000年の歴史などと言われる中国ですが、
国家としての中国の建国は1949年で歴史は100年もありません。
元のときはモンゴル民族が大陸を統治してましたし、
100年前は漢民族とは違う北方の民族の女真族が清を統治しており、
統治する民族が変わるごとに
前国家の痕跡は全て破棄するのが中国大陸の国家ですので、
国家としての歴史は浅いのです。(中華料理などの文化は別ですが)

たくさんの偉人が産まれ、また高い素養と道徳
誇るべき文化や伝統、歴史がある。
こんな良い国に生まれたことを、私は幸運であると思います。



■反論・誤植・注意点など■
『「法に触れないなら何をやってもいい」と、
財力にまかせてメディアの買収を試みた人がいますが、
日本人の過半数が彼を喝采しているのを見て、
何とも絶望的な気分に襲われました』(P. 29)
これには少し誤解があるようです。
私たちは、彼が突飛な行動をとったから支持して騒いでいたのではありません。
ジャーナリズムの存在しない大手マスコミに風穴を開ける可能性を
あの買収劇に見出していたのです。
ひょっとしたら、まともな報道をしてくれるキー局が現れるかもしれない。
ニュースを安心して見られる日がくるかもしれない。
そう思ったからこそ、我々は支持していたのです。



■最後に■
一部、著者の独断と偏見が見られるものの
おおむね意見が一致して大満足の一冊でした。

日本人は自国の文化を良く知っておかねばいけないと感じました。
国際社会では日本の文化についての質問が多く
答えられないと英語が流暢でも尊敬されないようです。

文学を良く知らないにしても郷土の歴史や文化を
相手に伝えられないようでは国際人たりえません。

折り紙がおれる、百人一首などに詳しい、
古事記を読んだ事がある、日本の歴史を説明できるなど
何かひとつでも当てはまる方は日本の国際人として大変有望です。

海外に行くなら、海外のことを勉強すべきですが
それと同じく日本のことも相手に教えられること
それが尊敬される国際人というものです。





■評価■


点数合計 22点/30点満点

(1)読みやすさ 4点 
読みやすい

(2)情報量 2点 
30-60min

(3)成長性 4点 
真の国際人とはどのような者かが分かる

(4)実用期間 5点 
一生使える知識

(5)インパクト 4点 
論理の限界は興味深い話だった

(6)信頼性 3点 
主観的な一面もあるけれど、大方納得できる。



レビューNo.0280
評価年月日:2010年9月22日



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