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「日本文明世界最強の秘密」


  増田悦佐氏著
全367ページ
1600円+税
単行本

■この本を一言で表すと
「日本の強さの秘密は都心における鉄道網にあり」


■何故この本を手に取ったか?
「日本の強さは実は日本人自身にもよくわかっていないことが多い
おそらくはいくつかの理由があって、
それらが相乗効果をもたらしているのだろうけれど、
きちんとした根拠があれば知りたいと思ったから」


■流れ
日本経済について

エネルギー効率が国力の差となる

世界に類のない完成度の日本鉄道網



■レビュー■
『これからの国際競争力はインフラで決まるのだ』(P. 30)
『エネルギー優位の源泉は産業でなく、交通』(P. 116)
産業や家庭で消費されるエネルギーだけでなく、
人が移動に使うエネルギーもまた相当なものです。
つまり、通勤や通学などで移動する効率を上げれば、
それがそのままエネルギーの節約になるので
国際競争力があがるというわけです。

そしてそのカギは、人を大量に輸送できる交通網にあります。
何を隠そう、鉄道が日本の強みなのです。
満員電車をみたらわかるように、
鉄道は大量の人間を一度に輸送可能です。
乗車率100%のときで比べても、
同じ数の人たちが通勤に車を使う場合と比較して、
断然、鉄道のほうが効率が良いのです。

『日本経済は、同一のエネルギーで世界平均より二倍以上の
GDPを生み出すことができている』(P. 108)
こうなると、
最後まで高騰する石油を買い続けられるのは
日本ということになります。
彼らの二倍まで払って初めて同じ経済効率となるからです。

今後、ガソリンは高騰し続けるでしょう。
だから、なんとか効率の良い燃料電池車を開発しようと
国も企業も熱狂したのです。
しかし、
『燃料電池車などがエネルギー効率で
鉄道を逆転することはあり得ない』(P. 290)
ということと、そもそも燃料電池自動車なんて
電池の特性を考えてみれば、絵空ごとだったのです。
しかし、不可能に挑む姿勢は評価されることと、
大手自動車メーカーが、後に引けないほど
金をつっこんでしまったために、
電気自動車が次世代カーとして注目されるようになった今でも、
まだ継続して燃料電池車の開発は続いています。
車に載せる燃料電池は、固体高分子形燃料電池ですが、
私はこの燃料電池を搭載した自動車は一般に普及できないと考えています。
触媒に用いる白金の量が多すぎるからです。
価格もなかなか下がらないでしょう。
しかしいずれ、ニッケル触媒で作動可能な
家庭用定置型の固体酸化物形燃料電池は、
一般家庭に普及することがあるかもしれません。
その場合は、
定置型燃料電池+電気自動車の組み合わせになっていることでしょう。

 

鉄道に関しては、日本と欧米でかなり違いがあります。
『外観重視の欧米型都市、実用性重視の日本型都市』(P. 69)
『頭端式駅と通過式駅』(P. 72)
日本の鉄道駅は特殊な地形にあるもの以外は、
拠点駅でさえも通過駅で、
最小のスペースに最大の利便性を詰め込んでいます(P. 145)
機能最優先なのです。
ただ、鉄道を真似るだけなら荘厳な駅が建設されたはずです。
しかし、日本は世界で初めて機能や効率を重視した駅を作りだしました。
これがサルまねでないことは、一目稜線です。

『日本は鉄道だけで生活できる
コンパクトメガロポリスを構築可能である』(P. 76)
これが可能なのは、日本のみ、です。
これだけでも鉄道大国日本の有利さがわかるでしょう。
日本はすでに高効率エネルギー利用国家です。
他国はその秘密が、工業製品やその製造過程にあると思い込んでいます。
しかし、実際には低エネルギー国家の基盤はインフラにあるため、
簡単には、他国は日本の真似ができません。
なぜなら、日本以外の国では、
あとに引けないほどの車社会がすでに構築されているからです。
既存のインフラを破壊して、
ゼロから鉄道を構築するくらいの気合いと、
都心部に地下鉄を縦横無尽にひけるだけの経済力がなければ、
日本のような、鉄道網は作れないでしょう。

『欧米の鉄道は、補助がなければやっていけない』(P. 128)
驚くべきことに、まともに収益を上げている黒字鉄道は
日本にしか存在していません。(P. 129)
他の国々の鉄道は、運賃回収率が軒並み40%程度です。
これでは、鉄道を新たにつくろうとさえ思わないでしょう。
ゆえに、鉄道が不便になり時間も正確でないから
通勤には使えないので、利用者がさらに減ります。
そもそも自動車があることを前提として街が整備されているので、
もはや鉄道を運営しようなどという、計画を立てる意義もないのです。
そう考えても、東京、大阪のような鉄道ネットワークは、
やはりどの国も真似できません。

『日本では、自動車運転のできなくなった高齢者も、
東京圏・大阪圏に移住すれば、日常生活には
ほとんど不便を感じない暮らしができる』(P. 226)
現在、都会で生活していたけれど定年退職などの理由で都心を離れた高齢者が、
再び都心に回帰する現象が起きています。
その理由が、これだと思います。
身体機能が衰えてくると、自分は大丈夫のつもりでも、
周囲からみたら、結構危ない運転をしているものです。
高齢者の自損事故での死亡が多いことを見てもそれがわかります。
それに、自動車は本体も高いですが、
維持費も結構かかるものです。
頻繁に利用しないなら、家賃が多少高くでも、
自動車を手放して、公共交通機関を利用したほうが
はるかに便利で安くつくのです。



■反論・誤植・注意点など■
『せめてクルマの中にいるときぐらいは、
自分の運命を自分で握っていたいという願望が、
もともとエリートたちの自己顕示欲のための道具として開発された
自動車という輸送機器を、大衆の間に普及させた』(P. 213)
車は男性にとって魅力的なアイテムです。
それは自己顕示欲だけの問題ではなくて、
それが男性の空間認識能力を十分に活かすことができるものであり、
かつ、車内は一種の排他的占有空間とできるからです。
でも別に、車の運転なんかに、
運命を操作している疑似体験など求めていないと思います。
もしかして、そういう心理学的な見地でもあるのでしょうか。

『反転跨道橋つき立体交差(P. 326)
発想は良いと思いますが、日本の交通インフラは
国会議員、建設会社などの利権が絡むので、
良い発想であっても、利権に反することなら実現しません。
ゆえに、どうやって既得利権団体を説得するかが、
実現に向けたカギとなると思います。

『ビジネスはリニア新幹線、観光は在来の新幹線といった
棲み分け、使い分けも可能になる』(P. 347,348)
リニア新幹線が実現すると、既存の新幹線の値段は上がるかもしれません。
出張などでこれまで新幹線を利用していた人が減って、
観光客だけを相手にすることになったら、
収益が悪化してしまうと考えられるからです。



■最後に■
本書は日本の明るい未来を示してくれる良い本です。
日本には、日本悲観論と日本楽観論が混在しており、
それぞれ多数の著作が書店で販売されています。
しかし、根拠が曖昧で独善的なものが多いのが現状です。

『日本没落説を反証するデータさえも
色眼鏡をとおして日本没落説の増強データにされてしまう』(P. 14)
ホントか?と常に疑ってかかってみましょう。
もちろんこの本の内容も同様に疑ってみてください。
そうやって、たくさんの本を読んでいるうちに、
何がホントで嘘なのか、半年もすれば
大体見分けがつくようになります。

『終末論者は権力亡者と考えておいた方が良い』(P. 287)
終末論が認められたら、その対策のために莫大な費用が費やされます。
その陣頭指揮をとるのは、たいてい最初にその問題を提起した人物です。
だから、自分のキャリアにもなるし、お金も手に入るので、
熱心に危機感を煽ってまわります。
もし自分の予言が大外れだったとしても、
「それは私が事前に警告し、対策が打たれた結果だ、
大事なくてよかったじゃないか」といえば、
良く事情を知らない人は、「そうだね」となって
結局、その人は責任を負わないで済むのです。
ノーリスクハイリターンなのです。
終末論者が卑怯者である、と批判されるのはそのためです。

本書は、日本のインフラに関して
どれほど鉄道に強みがあるのかを知るきっかけになりました。
良書であると思います。



■評価■


点数合計 26点/30点満点

(1)読みやすさ 3点 
グラフや参考図書がきちんと示されていてよかった
けれどもところどころ文章が読みにくく、速読の足を止められた、
とはいっても文意は通じるので
じっくり読む人には問題ないものである

(2)情報量 4点 
120-240min

(3)成長性 4点 
鉄道網の長所と短所が分かる
一読の価値あり

(4)実用期間 5点 
10年以上使える

(5)インパクト 5点 
日本経済の強みを鉄道網の発達という観点で説明したところが斬新

(6)信頼性 5点 
根拠もきちんと示しているし、
多少質問して意見を聞きたいことはあるが、
信頼できる内容である


レビューNo.0324
評価年月日:2010年12月9日



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