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「理系白書」


  毎日新聞科学環境部編
全341ページ
571円+税
文庫本

■この本を一言で表すと
「理系はあんまり報われないことを力説」

■何故この本を手に取ったか?
「理系の人間にとって興味深い内容が
いろいろと掲載されていたから」

■流れ
日本では文系が出世する

技術者たちの反乱

博士はある意味奴隷

理系カルチャー

女性研究員

研究と金

文理融合



■レビュー■
資源の少ない日本にとって外貨を稼ぐために
輸出できる主力商品は技術力であることは明白です。

そういう意味で理系は日本では
多大な貢献をしてきたといえます。

しかし、

「理系は報われているだろうか?」

本書で記述により、
難関の国家一種試験に合格し、
官僚になる人の割合は理系が多いのに
出世した人のうち文系の割合が極端に多いことから
上に上がるのは文系ばかりである
という事実がうかびあがりました。(P. 23)


また、大学生活では華やかな文系にくらべ
理系は実験、レポート三昧で忙しい。
世間では大学は
レジャーランド化しているという認識ですが
理系にきてそんな勘違いをしていたら
確実に留年します。

また、院までいこうものなら就職が遅れ
さらには2から5年間のサラリーを
諦めなくてはなりません。
もちろんこの間、授業料を支払う立場にあるのです。

『米国では、院生は教授に雇われている感じ』(P. 73)
学費の心配はいらないといいますし、
なんと奨学金が毎月20万円ほどでるそうです。
しかも、海外の奨学金はたいてい返還免除です。

実は過去にヨーロッパからの多数の留学生が
工学部のキャンパスへ見学にきたとき
日本の学生の生活について質問し、
その実態を知ったとき騒然となっていました。
学費を払い、かつ奨学金は返還するという事実に
「ありえない!」と。
それもそのはず、
世間一般の方は、
欧米の大学生は自立して立派だと勘違いしています。
実は日本の学生は、
へにゃへにゃなりに頑張っており、
欧米よりも過酷な状況であることは、
パオロ・マッツォリーノ氏著「反社会学講座」を参照してもらえれば、わかると思います。

日本の理系学生の半数以上は、
程度の差はあれ、
いまでもそれなりに苦学生なのです。
すくなくとも欧州の学生から同情されるくらいには・・・。


社会人として認められる存在となり
自由になるお金ができた、
かつての文系同期を横目に
理系は、いい年して学生と後ろ指さされながら勉強し、
お金のない生活を続けなくてはならないのです。



もうひとつ言えば、
『恋愛に限っていえば理系は損』(P. 125)
理系分野には圧倒的に女性がすくなく
(高世えり子氏著「理系クン」参照)
大学から場合によっては就職しても
周囲は男ばっかりの生活をするため
婚期が遅れる人が多いという事実があります。


さて、ここまでさらっと理系の処遇をみましたが、
この事実に感づいてると思われる子どもたちが
理数が面白いというだけで理系にくるでしょうか?

優秀なら文系に言った方が得と考えて
理数が得意でも敢えて文系に行くでしょう。
賢い子は必ずそうするはずです。
むしろ、これだけ不利になるという事実を前に
敢えて理系にくるというのは、
普通に考えて理解しがたいです。

そこをもっと考えなくては
理系離れに歯止めなどかかろうはずも無いのです。


中村修二さんの
『イチローが、二万円で
あれだけ頑張ると思いますか?』(P. 41)
という発言は大変的を射てると思います。

中村修二さんは青色発光ダイオードの発明者であり、
その特許をとり、
会社の莫大な利益に貢献したにも関わらず、
会社から2万円しかもらえませんでした。
アメリカでは「スレイブ・ナカムラ」とも呼ばれています。

しかし最近、
技術者が会社を訴える事件が多発し、
企業側が敗訴を重ねたため
多額の報奨金を出すところが出始めました。
三菱化学は億単位の報奨金をだすことで有名です。



■反論・誤植・注意点など■
『生涯賃金の格差、5000万円』(P. 18)
これを聞いて、「理系はなんてむくわれないんだ!」と
思ったこともありましたが、何度か読み返してみて
ふと不思議なことに気付きました。

文系の生涯賃金 4億3600万円
理系の生涯賃金 3億8400万円(P. 23)

これ・・・、
理系もけっこうもらってますよね・・・。

「あなたの会社は3億円払ってくれますか?」なんて
コピーが出てるこのご時世に、
3億8400万円の障害賃金で何がそんなに不満なの?

これって、ある国立大学の文系理系を比べたって
言っているのですが、
それって東大の話なんだと思います。
平均で4億円以上の生涯賃金って言ったら、
それ以外考えられないでしょう。

帝大に限って言えば、
文系の人は一流企業や官庁にいって出世しますよ。
特に官僚は理系が文系より出世しにくい
というのは事実ですから
すごい格差があるように見えるでしょうね。

しかし、
文系の中でも激しい出世競争があります。
みんなが良いポストに就けるわけではありません。
いいように見えるのは一部だけだと思います。

そう考えると、
理系は帝大卒でなくても
極端な落ちこぼれがでにくい就業形態ですので、
一攫千金は無理でも、
確実にそれなりのお金が稼げます。
(大槻義彦氏著「子供は理系にせよ!」参照)

リストラにもあいにくいですし、
もし、リストラされても理系の人は、
会社をえり好みさえしなければ、
50代でも次の就職は決まるといいます。
(増田明利氏著「今日、ホームレスになった」参照)

年収300万円時代の到来などと言われる現代で
(森永卓郎氏著
新版 年収300万円時代を生き抜く経済学」参照)
報われないと主張されている理系にしたって
この事例では、
40代で年収1000万円超えてるんですよ。(P. 23)
それでそんなに不満なのかな?って思います。
いまどき、銀行員でさえ、
40代で全員年収1000万円は過去のものです。


『「科学への基本的な関心に男女差はない。
社会的な原因が、女子の理科離れを加速させるのでは」と分析している』(P. 165)
男女の科学への関心の差はないかもしれませんが、
職業にしたいと思うかどうかは別でしょう。
男女では、脳の構造がかなり違います。
それゆえに、得手不得手がでてしまうのです。
男は空間認識能力を活かした分野へ
女はコミュニケーション能力を活かした分野へ
それぞれ進んでしまうのです。
(アラン・S・ミラー氏著「女が男を厳しく選ぶ理由」参照)
女性の大半が理系分野に進まない理由は
根本的な原因は社会ではありません。


■最後に■
理系離れが進んでいると危惧されて久しく
昔は文:理=1:1の割合だった
ある大手予備校のクラスが
最近は文:理=3:1になった
と聞いたことがあります。

理数離れの原因としてよく揚げられるのは
若者たちが理科がわからなくなったからではないか?
というものです。

楽しい授業をして若者に理数に興味を持ってもらう。
これが現在の理数離れ解決策です。
そうでないと技術立国日本の未来は危ないらしい。

この解決策が功を奏した
などという話はまだ聞かない。

やはり仮定された原因が全く見当違いなのでしょう。


みなさん、理系選択者が減ると
日本がやばいと思っているようなので
これから理系の待遇は
相応に上昇する可能性があります。
そうなれば、優秀な若者が冷静に考えて
理系もありだな、と思うようになりますので
理系離れに歯止めがかかります。


それに、
バブル期に文系就職した理系は
たくさんいるのですが、
(今野治氏著「「理工系離れ」が経済力を奪う」参照)
この文系分野に進んだ優秀な東大理Ⅰ類の方たちが
そろそろ重要なポストにつく年代です。
きっと、どんぶり勘定ではなく、
きちんとした経営をして、
理論的に問題を解決していってくれるものと
期待していいのではないか、と思います。

これからは文系分野でも
日本が世界をリードする可能性があります。
第二第三の野口悠紀夫氏が誕生するでしょう。

理系に進んだ若者が、
将来的に技術系の分野で仕事をしなかったとしても、
クオリティの高い仕事をするならば、
それは日本の国益になると思います。

それに大学院修了などの学歴が高い人だけが
日本の高い技術力を支えているのではありません。
日本の町工場には、
中卒高卒の世界トップレベルの技術者が数多く存在するのです。
(岡野雅行氏著「学校の勉強だけではメシは食えない!」参照)
これは海外にはない強みです。
学術的な基礎技術の確立は大切ですが
それだけでは、ものづくりはできないのです。
学歴にだけしか目がいっていない人の日本批判では
そういう町工場の存在が、ごそっと抜け落ちています。

昔ほどではないかもしれませんが、
いまでも日本では理系が、
物作りで相当がんばっていますし、
それだけでなく
世界トップレベルの町工場があるのです。
日本の将来を悲観することはありません。


■評価■


20点/30

(1)読みやすさ 3点 
ふつう

(2)情報量 3点 
60-120min

(3)成長性 2点 
我々はもう文理選択してしまったので
そうだよねー、とうなずく雑学程度。

(4)実用期間 5点 
これから10年で変化があるようには思えない。

(5)インパクト 3点 
納得することが多い。

(6)信頼性 4点
一部恣意的なところも見受けられる。
しかし、だいたいあってる。 


レビューNo. 0336
評価年月日:2009年5月26日



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