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「まんがで読破 蟹工船」


  小林多喜二氏作
全190ページ
552円+税
マンガ文庫本

■この本を一言で表すと
「過酷な環境の弱い立場の労働者たちが
団結することで雇用者と戦えるようになる」

■何故この本を手に取ったか?
「日本では格差が取りざたされている。
蟹工船が最近脚光を浴びたのは、
そういった格差を背景に、ネット上で
「これ蟹工船じゃね?」という書き込みがあったためである。
ゆえに、現代に通じる話として昔の名作の内容を
短期間で知りたいと思っていた所、
すぐに読めそうなマンガを発見した次第である」

■流れ
蟹の缶詰を洋上で作る蟹工船

労働者を締め上げて生産を高める

ロシア船に救われた労働者が赤化される

労働者で組織的に雇用者側と対立



■レビュー■
「蟹工船」とは、
簡単に言うと「缶詰工場付き漁船」です。
当時缶詰の需要が増していたときに
とれた海洋産物を漁港までもって帰っていたのでは
鮮度が落ちるし、効率が悪い。
ゆえに、船の上に缶詰工場を作り、
そこでとれたての海洋産物を缶詰にしていたのです。


『一番やっかいなのは「労働組合」です』(P. 19)
これは現代でも雇用者側が考えていることです。
労働組合が強いと会社がつぶれるとまで言われます。
ですから、蟹工船の時代と
現代で状況が違うかもしれませんが、
いずれにせよ、労働組合などの組織が、
労働者たちにとって有用であることは確かなようです。



『タコ部屋では多くの労働者虐待されていた』(P. 57)
『死んだ労働者は人柱にされていた』(P. 58)
など、現代からしてみたら
地獄のような描写があります。
この時代に比べたら、
現代の格差社会はまだマシなのでしょう。
ですが、このままでいいとは思えません。
これまでの歴史をみても、
大きな国が滅ぶ時は、必ずといっていいほど
国民の間に如何ともしがたい格差が生じたことが
原因となっています。

格差によって将来に
希望を見いだせない国民が多数存在するなら
その国家はそのうち自壊します。
日本はまだそこまでいっていませんが、
政府が気にとめて、
これ以上の格差が生じないように
策を練るべきだと思います。

そういうと、働く気のない人には何をしても仕方ない、
という声が聞こえてくるのですが、それは違います。

ニートはどうかわかりませんが、
フリーターは働く気があります。
彼らは正社員になりたくてもなれなかった時代背景があるのです。
それを政策で何とかしてやるのが政府だと思います。
それは無駄なことではありません。

フリーターがきちんと就職して、
きちんと税金を納め、
また消費活動、結婚子育てに励めば
いろんな問題は解決するのです。
移民を受け入れるなどといった、
的外れな政策よりもずっと日本のためになります。


『いま殺されているんですよ、
ゆっくり、小刻みにね』(P. 147、148)
いわゆる「ゆでガエル」です。
水をはった鍋の中にカエルを入れて、
下からゆっくりあたためると
カエルは鍋から出ていこうとはしません。
きっと水が温かくて気持ちいいからでしょう。
そのうち本当に熱くなったころには、
カエルは思うように動けず
そのまま茹であがってしまうのです。

これと、基本的には同じです。
すぐに死なないからといって、
いまは動かないでいると、
問題を先送りにしているうちに
本当に動けなくなるはめになります。
賢い人間も、
ゆでガエルと全く同じ行動パターンをとるのです。

「あなたの寿命を一時間3000円で買いたい」
と言われたらあなたはどうしますか?
相手はとりあえず
2000時間分くらいまとめ買いしたいと言っています。
4000円/時間なら売りますか?

大抵の方は、ぎょっとして
なんとなく嫌な気分になると思います。
でも、会社のために
年間2000時間以上働くことは平気なのです。
会社で働いて給金を貰うというのは、
自分の時間を売っていることと同義です。
命を売っているのと同じことなのです。

しかし、何もしなくても時間は過ぎていきます。
時間は貯めておけないのです。
有効に使うか、浪費するかの二択なのです。

ということで、
実は、みなさん働くことは命の切り売りと知っていても
でも、お金がないと生活できないし、
就職しなくてはいけない、
と思って大学を出て入った企業で
一生を過ごしてしまうのです。

これは悪いことではありません。
しかし、命を削っているからこそ、
自分の仕事は本当にやりたいことで決めるべきで
給与の多寡のみで決めるべきではないのです。
給与のみで仕事を決めるという行為は
あなたの命の切り売りと同じなのです。



■反論・誤植・注意点など■
20世紀には、
資本主義と社会主義の対立の象徴として
旧ソ連とアメリカの冷戦がありました。

しかし、現在はそれも終結し、
純然たる社会主義国家は強国として存在しません。

これは、社会主義が理想としてはよいけれども
人間の欲や怠惰な部分を見落としていた
大きな欠陥を抱えるシステムだからです。

ゆえに、
行き過ぎた資本主義は人を不幸にするけれども
社会主義だから救われるというわけでもないのです。
それが証拠に、社会主義国家は資本主義国家以上に
賄賂や汚職がはびこっています。

本作品では、
ソ連に助けられた労働者が赤化されて
最後に労働者が組織を組み戦い勝ったことから
社会主義を啓蒙しているように思われてしまうので
その点に勘違いしないように
気をつけなくてはなりません。


■最後に■
本書はプロレタリア文学として有名で
おそらくみなさん現代文か日本史で習って
タイトルを知っていると思います。
ですが、出版関係者でなく、また興味もなければ、
文学書というものの
詳細な内容を知らなくて当然です。
だって、自分の仕事に関係ないですから。
文学はあくまで教養として使えるというものなので、
ビジネスパーソンとしては
余裕があるときにさくっと読むのが一番でしょう。


プロレタリアとは、
賃金労働者階級を指す言葉です。
ゆえに、プロレタリア文学とは
労働者の文学ともいえます。
近代の過酷な労働を小説で読み
若者自身が現代に重ね合わせています。
さすがに蟹工船ほどひどいことはないと思うが、
程度の差はあれ、基本的なところは同じです。


本来なら小説で読むのが筋でしょうが、
漫画というのもなかなか良い。

というのも、
右脳を存分に使えるからです。

漫画があるなら初めに漫画を読む。
小説で読むより、頭に入りやすい。
というと、馬鹿にする人がいるのですが、
東大理科三類現役合格者で
源氏物語などの古文を
はじめに漫画で読んで理解し、
それから古文を読んだという人がいます。
その方は、マンガを馬鹿にして読まないのは
考え方の違いとして別にかまわないが、
大幅に時間をロスしているという自覚をもつべき、
といった内容のコメントをしていました。


ビジネスパーソンは
文学者になるわけではないのです。
文学は内容さえ分かればそれでよいのです。
だから、漫画で読むことをはずかしいと思わずに
ぜひぜひ本書を手にとって見てください。
私はこの本15分で読みました。
内容も大体覚えてます。
それで文学が味わいたいほど名作と思うなら
そのとき小説を手に取れば良いのです。


■評価■


21点/30


(1)読みやすさ 5点 
たいへん読みやすい

(2)情報量 1点
30min未満

(3)成長性 3点 
文学書として読めば雑学程度
だが、社会を何も知らない若者にとっては
労使関係について少しだけ分かる良い本である。

(4)実用期間 5点 
雇用者と労働者はいつも対立関係にある。

(5)インパクト 3点 
資本主義の行き過ぎた面が見える。

(6)信頼性 4点 
かつてこのような時代があったことは事実。



レビューNo. 0417
評価年月日:2009年7月12日



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