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「失敗学のすすめ」


  畑村洋太郎氏著
全303ページ
533円+税
文庫本

■この本を一言で表すと
「良い失敗はしてもいい」


■何故この本を手に取ったか?
「失敗は成功の母というが、
失敗はできるだけしない方がいいに決まっていると、
私は思っていたので、このタイトル「失敗学のすすめ」に
心惹かれるものがあったから」


■流れ
失敗とは何か

失敗の傾向と特徴

失敗情報の伝達

失敗から学ぶ

致命的な失敗をなくすために



■レビュー■
『失敗を隠すことによって起きるのは、
次の失敗、さらに大きな失敗という、
より大きなマイナスの結果でしかありません』(P. 18)
失敗は世間から非難される最たるもののひとつであり、
これを公表しても、本人にとって良いことなどひとつもありません。
よって、失敗は隠される傾向にあります。
しかし、失敗するには必ずそこに至った原因があります。
小さな失敗でも隠さずに、何が原因で失敗したのかを明確にしておくことで、
次の失敗を未然に防ぎ、かつ大失敗になる可能性を減らせます。

『初心者の学習と失敗とは、本当に切っても切れない密接な関係にあります』(P. 30)
『最初のうちに、あえて挫折経験をさせ、それによって知識の必要性を
体験・実感しながら学んでいる学生ほど、どんな場面にでも
応用して使える真の知識が身につく』(P. 31)
日本のすごいところは、この失敗の経験を
昔から教育にとりいれてきたことにあると思います。
職人などの世界では特にそうですが、
仕事を手とり足とり教えてもらえることはありません。
新入りは雑用を言いつけられ、
それをこなすときに先輩たちの仕事を盗み見て
家に帰ってから一人で練習します。
そうしているうちに一年ほどしたところで
突然声をかけられます。「おい、ちょっとやってみろ」と。

そこで良しとなれば、調理を任せてもらえるかもしれません。
そういう世界ですから、自分で見よう見まね、たくさんの失敗をしているはずです。
そうしているうちに、最初はよく分からなかった先輩たちの
小さな動きまでも見逃すことはなくなります。
夜な夜な失敗を繰り返すことで何が問題なのか、
どうやったら解決できるのか、
注目すべき点が身を持って分かり、意識が変わるからです。

「畢竟、独学に勝るものなし」
というのは、実はそういうことです。
正解を教えてもらえないからこそ、
ひとりでたくさんの失敗を繰り返し、
貪欲に解決策を模索するからこそ、
真剣さが増して知識経験の吸収の度合いが上がるのです。

『ミスを起こした個人は、それによってなんらかのペナルティを受けるでしょう。
とはいえただ叱るだけでなく、その人の成長過程で
必ず通過しなければならない失敗は、「良い失敗」と認めるべきです』(P. 66,67)
『端的にいえば、「良い失敗」に含まれない失敗がすべて
この「悪い失敗」だと考えてまちがいありません』(P. 69)
『いたずらに「悪い失敗」の経験を重ねても、
それは個人の成長には結び付きません』(P. 69)
失敗することは、学習のためにあってもいいことですが、
それが推奨されるのは、被害が小さく、取り返しのきく場合に限ります。
また、一度した失敗を繰り返してはいけません。
同じような失敗を繰り返す人に対して、世間も会社も甘くないからです。

『ハインリッヒの法則』(P. 86)
これはとても有名な法則です。
ひとつの大きな事故の陰には、29の小さな事故があって、
さらにその陰には300の失敗に至らないがヒヤリとする事件があります。
つまりは、そういった小さな失敗を放置することで、
いつしか大きな失敗を誘発してしまうのです。
つまりは、ほとんどの大きな失敗というのはある日、突然起きるのではなく、
小さな失敗によって前兆が確認されていたということです。

『失敗は予測できる』(P. 89)
ですから、小さな失敗だから大丈夫、と安易に考えてはいけませんし、
失敗に至らなかったことでも、
もし失敗してたらどうなっていただろう、と考えて、
危険を内包したままのシステムを個人の技量でカバーするのではなく、
誰が運転しても安全に作動するシステムを確立できるようにすべきなのです。
失敗を責め立てすぎると、非難を恐れてこれらの小さな失敗が表に出てきません。
それでは、大事故に至るまで安全を確保するための対処ができなくなるのです。
小さな失敗を拾い上げて対策を立てるためには、
失敗例の報告をしやすくする仕組みを作るところから始めなくてはなりません。

『失敗情報は伝わりにくく、時間が経つと減衰する』(P. 93)
『この石碑にはここより下に家を建てるなと書いてあるのに、
そのすぐ下に家が建っているのです。
日々の便利さの前にはどんな貴重な教訓も役に立たない』(P. 96)
喉元過ぎれば熱さ忘れる。
どんな失敗も、それに伴う痛みも
組織の中では減衰していきます。
当事者である個人にとっては一生忘れない出来事でも、
その個人がいつまでも組織に存在していられないのだから当然です。
これを
『すべての組織が陥る病』(P. 231)
として著者は警告しています。
すべての技術は、約30年ほどの期間で、
萌芽期、発展期、成熟期、衰退期という4つの時期を辿っていきます。
これが大体、ひとりの人間が定年退職や経営にまわるなどで
現場からいなくなる期間に相当しています。
開発段階から現場で小さな失敗をつぶさに見てきた世代がいなくなったとき、
効率の高い方法が確立されたひとつの方法しか知らない若い世代に
失敗の教訓を完全に伝えることは、とても難しいのです。

単純な理由で致命的な失敗がおこる理由としては、
『1 技術が成熟していること
2 大増産、もしくはコストダウン対策や
リストラ策がはかられているところ』(P. 240)
の二つがあげられます。
コストダウンを推し進めるとき、
そこに失敗の芽が潜んでいることを十分に理解しておかねばなりません。

『客観的な情報は、一見すると優れたものに見えますが、
経験者と同じ立場の人が見ても、残念ながら
そこからは新しい何かを生み出すまでにはいたりません。
身近な問題でも、残念ながら
そこから新しい何かを生み出すまでにはいたりません』(P. 113)
登山などで手記をかく探検家は多いのですが、
日本人と外国人で差があるそうです。
外国人は技術レポートのように、
その日に起こったことを客観的に書くけれども、
日本人は綺麗な花があって心が和んだとか、
霧が出てきて視界が悪くとても不安であったとか、
まるで小説のように個人の感情を絡めて書くのだそうです。
外国人からしてみたら、
そういう個人的な感情を交えた手記は役に立たないそうで、
日本人はもっと客観的に手記を書くべきだ、というのです。

私は、探検家の手記なんてみたことないのでよく知りませんので、
その時は、そうなのか、と思ってました。
ですが、本書を読んで、どちらかといったら
その感情が伝わってくる手記の方が、情景がリアルに伝わってきて
良いのではないか、と思うようになりました。

『失敗は必ず起こるもので、これを避けることは絶対に不可能です。
しかし、どこで起こるかくらいは、
全体を理解していれば容易に予測できる』(P. 259)
失敗が起きた時に、その被害を最小限に食い止めるためには、
システムの全体を見通せるだけの理解が必要だといいます。
どの箇所がそのようなトラブルを起こしていて、
どうしたらそれが止められるのかは、
システム全体を知っていなくてはできません。
また、
『仮想失敗体験』(P. 149)
といって、実際にトラブルが起きた時に、
どのように動くかを予行演習しておくことが大事であるといいます。
これは、我々も火災訓練などで経験を積んでいると思います。
実際にトラブルは起きてないけれども、
起きた時を想定して、仮想的に失敗への対処法を学ぶのです。
頭で分かっていても、実際に事故がおきたときには人はパニックになります。
どう対処していいか、体がついていかないのです。
交通事故で怪我人がいるのに救急車を呼ばずに
呆然としている人がいるのはそのためです。
事故への対処は時間との勝負です。
有事の際に、被害を最小限に食い止めるには、
頭だけでなく体にも学習させておく必要があるのです。



■反論・誤植・注意点など■
『ダメ上司の典型例は、「そんなことをやってもうまくいかない」
「自分も過去にやったけど、ムダだったからやめておいた方がいい」などと
軽薄な失敗談を語って部下のやる気をそいでいる人です』(P. 254)
これは見方によっては危ないです。
上司が昔、それと同じか似たようなことをやって
失敗した経験があるからうまくいかない、と発言しているとして、
もし、部下がその忠告を無視して失敗した場合、
部下はどんな評価をされるでしょうか。
おそらく、話をきかない、上司の忠告を無視するなどの陰口までついて
会社に損害を与えた奴、と非難の対象となるでしょう。
たとえ、若手からは情けなくみえるような人であったとしても、
上司はやはりベテランであるのです。
その忠告を安易に無視してはなりません。
絶対にやるな、とは言いません。
でも、無視して実行するなら、失敗したときの覚悟はしておくべきです。

『最近の若い人たちは、昔ながらのウェットな人間関係を嫌って、
赤ちょうちんなどでのコミュニケーションを敬遠する傾向にあります』(P. 273)
最近の給与の下げをみたら、上司ほど給与をもらってない若い世代は
そう頻繁に飲みにいくほど余裕は無いですよ。
飲み代を節約して、将来の不安に備えたいと思うのが当然ではないでしょうか。
決して、上司とのコミュニケーションを拒んでいるわけではないのです。
それよりも、飲み二ケーションでしか意思疎通が図れない方が問題です。
週に一回とかでいいので定例のパワーランチでも企画したらどうでしょうか。


■最後に■
理系にとって失敗というものは、とても身近な存在です。
実験は失敗の連続で、また危険な薬品もたくさんおいてあります。
それらに対する知識と事故が起きた時の対処法を
命にかかわるものだけですが、自分で一通り学んでおかねばなりません。
何か起きた時に、その知識があるかないかで、
生き死にが分かれることになるのですから、
おろそかにできないことです。

これは、自分の命が危険にさらされる可能性が高く、
それを自己責任(誰かのミスであっても怪我をするのは自分)で
対処しなくてはならないということもあって、
まず最初に確認してしまうものです。

事故への対処法確認は研究室に限らず、
工事現場や工場などではそうだと思います。
また、そういう現場では、ちょっとしたミスも本来は許されません。
ちょっとしたミスで人が死ぬのが現場の恐ろしいところなのです。

何故、私が失敗学というタイトルに惹かれ、
また、繰り返し本書を読んだのかと言えば、
それで多くの事故を未然に防げたら、
自分を含む多くの人たちが死傷せずに済むからです。
事故を起こさないための方法を知ること、
事故が起きたときの対処法を知ることは、
とても重要はことだと思うのです。
実際に危険な薬品を使うからこそ
私にも身を持って、失敗学の大切さがわかるのです。


■評価■


点数合計 27点/30点満点

(1)読みやすさ 4点 
図解があって、読みやすい

(2)情報量 3点 
60-120min

(3)成長性 5点 
事故をおこさないための

(4)実用期間 5点 
一生使える知識

(5)インパクト 5点 
失敗に対する認識が変わった

(6)信頼性 5点 
信頼できる内容


レビューNo.0593
評価年月日:2011年4月6日



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