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「地震がくるといいながら高層ビルを建てる日本」


  デュラン・れい子氏著
全207ページ
838円+税
新書

■この本を一言で表すと
「日本と比較して異なる欧州の考え方を紹介」


■何故この本を手に取ったか?
「日本と日本人が欧州でどのように思われているのか興味があり、
前著「一度も植民地になったことがない日本」と同時に購入した」


■流れ
本音と建前は世界共通

欧州式カップルの実態

欧米人がとまどう日本の常識

欧州流コミュニケーション



■レビュー■
『日本でも本当に国際人を育てたいのなら、
高校教育にディベートを取り入れないとヨーロッパの人と議論はできない』(P. 54)
欧米では幼いころから討論の訓練をしているといいます。
それは国際的な会議において重要なことであるのですが、
日本では討論に関する知識経験は、学校などで学べず、
個人がビジネス書を買って独習するしかありません。
しかし、それでは畳水練以外のなにものでもなく
英会話を本のみで勉強するようなものです。
きちんとした議論ができるように、小学生のころから簡単な議論の教育をほどこし、
高校を卒業するまでには、論理的な討論ができるようにカリキュラムを組むべきです。

欧米の夫婦は常に一緒に行動します。
『基本的にはふたりで一組。
つまり人生の伴侶なんだから、どんなときでも一緒』(P. 105)
たとえば、国際学会にも海外の教授は奥さんと一緒にやってきます。
ですから、大きな国際学会では参加者の奥さんのために
茶道などの先生をお呼びして、日本の文化に触れてもらう催しも手配したりします。
日本人なら奥さんも学会につれてくるなんて
公私混同していると思われても仕方ないんですが、
欧米ではそれが当たりまえのようです。
日本だと単身赴任が普通ですが、欧米ではありえないそうです。
そういえば、ジム・ロジャーズの婚約者も
彼が3年におよぶ世界旅行を実行したときについていきましたね。
(森生文乃氏作画「マンガ ジム・ロジャーズ」参照)

『クリントン大統領は、このスキャンダルで人気が急落した。
これはやはりプロテスタントの国のモラルなのだと思う。
そして、あれだけ自分のスキャンダルが公表されたシラク大統領が
問題にもならず再選されたのは、カトリックの国ならではと思う』(P. 146)
日本は政治家の女性問題が発覚するとやはり問題になるので
プロテスタントに近いと思いますが、
最近はそういう問題に対する非難の声が小さくなっているように思います。
多少のスキャンダルが出た程度では、日本の政治家は辞任しなくなってしまいました。

『彼らを納得させるにはどうすればいいかというと、
歴史的な背景をしっかり説明して事実を突き付けるか、
あるいはヘリクツでもいいから、
その場で「ああ、なるほど」と思わせる答えを見つけることだ。
そうでないと、いつまでたっても彼らは同じ質問をやめない』(P. 168、169)
なるほど、これは参考になります。
しかし、あんまり適当なことを言っては日本人全体が誤解をうけて困りますので、
根拠に乏しい話をした場合は、後で調べてフォローしなくてはなりません。
それができないなら、「自分の意見であるから本当かどうかわからない」と
必ず付け加えるか、はっきり「わからない」と言うしかありません。

『「日本人は働き過ぎだから居眠りする」と言うが、
私は「それは違う!」と即座に否定する。
それは安心しているからなのだ』(P. 177)
なるほど、その通りです。
確かに、どんなに疲れていても、
眠ったら襲撃されて財布を奪われてしまうような
危険な地下鉄であったなら居眠りなんてできませんね。
日本において電車で眠るのは、たしかに安全だからできることです。

『ヨーロッパに住む日本人の中には、
「自分はヨーロッパ人なんだ」と自負している人もいる見かける。
まあ、それはそれでいいけれど、まわりのヨーロッパ人がはたして
日本人をそう見ているのかというと、私は違うと思う』(P. 200)
ちょっと前まで、国際的な場で「あなたは何人ですか?」ときかれ
「私は地球人です」と真面目に答える日本人がいました。
本人は世界全体を考えて行動していたのでしょうが、性急すぎます。
きっとそう答えられた外国人の方は、
「こいつはやばい。何かのテロ組織にでも所属しているのだろう」と
まず間違いなく、得体がしれなくて気味悪がっていたはずです。
私たち日本人は、自分の望む望まないに関わらず、
世界では「日本人」として見られます。
私個人を見て欲しい、なんて通じないのです。
ここで著者がいうように、
日本人は日本人です。変えられません。
ヨーロッパが好きで住んでまでいるのだから
ヨーロッパ人として見てよ!と言っても無理です。
私たちだって、外国人が日本で犯罪を犯したら、
個人名でなくて、「○○人が強盗した」と言うでしょう。
そういう感覚は変えようがないのです。
ゆえに、真の国際人たりえたくば、
日本人であることを自覚して、
日本人として尊敬されるように努める以外に道はなく、
安易に自分の憧れる外国人になりきろうとするのは控えるべきなのです



■反論・誤植・注意点など■
日本人ならみなさん震度4レベルの地震を経験なさっていると思います。
震度4くらいになると流石に怖くなってきますが、
震度3くらいまでなら、「おー、揺れとるなー」くらいで
そんなに騒ぎ立てるようなことではありませんよね。
しかし、地震のほとんど起きない国からきた人たちは
震度2でも恐ろしいようで、人によっては震度1でも怖いそうです。
『「日本人は『自分だけは助かる』と思っているんですかね?
なんてのんきな国民性でしょう!」』(P. 17)
これは著者でなくて外国人の発言ですが、あきれたものいいですね。
日本人に限らず、人間はたいてい自分は助かると根拠もなく思っているものです。
しかし、こと地震に関しての日本人は、自分だけ助かるというより、
「大地震がきたら逃げようがない」ことをよく知っているだけです。
むしろ、日本人は自分だけ助かると思っているなんて決めつけてくる人こそ
そういう指摘をしてくるだけあって、自分だけは助かると強く思っているものです。

このような意見に対し著者は、日本人は、
『天災が起こったそのときはしかたない』(P. 20)
というあきらめと覚悟がいりまじったような無常観を持っていると主張しており、
大方、その見方で合っていると私も思います。
ただし、一方で何もしていないわけではなくて、
建築技術の耐震構造技術は世界最高ですので、
震度6レベルの地震がきても大丈夫な高層ビルをつくっています。
地震の衝撃を柱が吸収してしまうように
縦にまっすぐ柱を立ててつないでゆくのです。
これは「柳に風」工法といって、日本のオリジナルと言いきれます。
というのも、これまで幾多の大地震を経験したであろう五重塔などの
日本の木造建築が、今なおその姿をとどめていることに
興味がでた建築学科の技術者が、それらの構造を調べて
鉄鋼素材を使って超高層ビルをつくるための工法のヒントにしたからです。

『日本の多数の家庭で見られるウォシュレット・トイレ。
これが欧米では普及しないという』(P. 33)
これはロボットを無機質なものとして嫌う欧米の考え方に
多少の影響を受けているものと思いますが、
そもそもウォシュレットを使ったことがないので、
その良さがよくわからない、というのが実情なのだと思います。
ウォシュレットに人気がないわけではなさそうです。
なぜなら、ウォシュレットをつくる日本のメーカーは海外に進出していますし、
日本に旅行する外国人のうち何人もの人たちが、
トイレにカメラを持って行って、ウォシュレットを撮り
おおはしゃぎしてYoutubeに動画をアップしているからです。
本書でウォシュレットを馬鹿にしている外国人が登場していますが、
使ったことがないだけだと思います。
それに欧米は建物をとても大切に使いますので、
ウォシュレットなんてトイレの改築、もしくは新規設置でもなければ
積極的に導入しなくてはならないという類のものではありませんから、
日本に比べて普及が遅れるのはあたりまえのことです。
ウォシュレットは一種の贅沢品であって、
なければないで困るわけでもないからです。

『なぜ「兎小屋」という言葉がひとり歩きしたかは、
私はヨーロッパに住みはじめてからわかったが、
こちらの兎小屋は木でできている。
石やレンガの家が多いヨーロッパにしてみると、
日本の小さな木造住宅は確かに兎小屋のイメージだったと思う』(P. 74)
全く違います。
日本の住宅事情について初めて「兎小屋」という言葉を使ったのはフランスで、
その真意は「高密度住宅」という意味です。
日本の都心部では土地が絶対的に不足しており、
当時の日本では居住用の比較的高層の建物がいくつも建てられていました。
よって、そのフランス人に他意はなく、
日本人を侮蔑しようとかそういうつもりで
「兎小屋」などと書いたわけではありません。
ですが、それを日本語に翻訳した人が意訳せずに、
「兎小屋」と直訳したため
高度経済成長期には日本人の住宅は極端にせまかったこともあり、
欧米人は日本人の家を兎小屋だといって馬鹿にしている、
といった誤解を生んでしまったのです。
著者はフランスに長年住んでいて、
日本を紹介する記事をかいているのに
何故、このことを知らないんでしょうか。
著者には書いた文章に責任があります。
調べもせずに憶測で物を言ってもらっては困ります。
嘘を信じた読者がかわいそうです。

『イギリスには「ザ・サン」という日本の週刊誌や
タブロイド判夕刊紙に近い新聞紙があるが、日本ほど酷くない。
これらがなくなれば痴漢も少なくなる、そう思いませんか』(P. 179)
これの言っていることは、エロ本が無くなれば痴漢がなくなる、
風俗店がなくなればレイプは無くなる、
銃撃戦などのを扱ったテレビゲームがなくなれば暴力事件はなくなる、
といった安易で根拠の乏しい発想と同じです。
そんなわけないでしょう。
人間にはガス抜きが必要です。
いま平和で安全な日本においてさえ、
そういう類のものが一切なくなったら
いったいどうなるか想像できないのでしょうか?
返って犯罪数が増加することが目に見えています。

それに、いま現在でも痴漢するような不逞の輩は、
そういう週刊誌を見て触発されて痴漢に及んでいるわけではありません。
エロい週刊誌→痴漢増加、というのは根拠になってませんから
そのあたりのことをきちんと調査してから議論してほしいです。
それで確実な因果関係が認められたなら
試しにそれら週刊誌などをなくしてもかまいませんが、
その後もし犯罪が増加した場合、
責任をとる覚悟が著者にはおありなのでしょうか?
ちなみに私は、そういったテレビゲームや週刊誌などが
禁止された場合は犯罪が増えると思いますよ。



■最後に■
浅学な私がみても根拠の弱いことばかり言っていると思うので、
こういうこときちんと勉強されている方からしたら
もっと突っ込みどころ満載なのではないかな、と思います。

ただし、著者は日本のことを偏向して伝えようとか
そういう意図はなく、中立の目でみていることは伝わってきます。
だからあんまり目くじらたてて読むつもりはありません。

必読の類ではありませんが、
まあ、読んでみても不快ではない、くらいです。
読書に多くの時間を割けない方は、
本書は後回しにしていいでしょう。




■評価■


点数合計 14点/30点満点

(1)読みやすさ 2点 
読みやすくはない
代名詞が多く、また文章のつなぎ方が
個人的には速読に向かないとい思う
内容把握するまでに時間をくわされてしまう

(2)情報量 2点 
30-60min

(3)成長性 1点 
著者の個人的で主観的な意見が多いので
誰かを説得するためには使いにくい情報

(4)実用期間 5点 
10年以上使えると思う

(5)インパクト 1点 
大概知っている内容だった

(6)信頼性 3点 
根拠が弱いが嘘ばかりというわけでもない
巻末に一応参考文献が載っているが、
ろくに調べもしないで間違った発言をしているところがあるのはなぜだろう


レビューNo.0791
評価年月日:2010年9月22日



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