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「反社会学の不埒な研究報告」


  パオロ・マッツァリーノ氏著
全319ページ
1429円+税
単行本

■この本を一言で表すと
「反社会学講座の第二弾」


■何故この本を手に取ったか?
「反社会学講座がとても面白かったので期待して」


■流れ
くよくよとこだわり

GDP

尊敬されたい大人たち

博士と叙勲

長屋武士道



■レビュー■
『見栄をみくびってはいけません』(P. 12)
投票にいったかどうか質問して、
あとから調べれば分かることなのに
行ったとウソをついた人が20%ほどいました。
この原因は見栄の要素がつよいと著者は主張しています。

『なんらかの予測を裏づけたいがために、
ほとんどの意識調査が行われています』(P. 14)
つまりは、こういう結論なのではないか、と
仮定した場合に、その裏付けとなるデータが根拠として必要になるのです。
そのデータを得るために、または自分の都合のよいように解釈するため
社会学では、個人的に気に食わない人たちを
悪人に仕立て上げることが可能なのです。
おそろしいですね。

『近頃は治安が悪化した。
昔は家にカギをかけなくても泥棒なんて入らなかった
おっとっと、それはあなたの実家が貧乏で、
盗られる物が何もなかっただけの話です』(P. 19)
犯罪発生率は貧困によって上昇しています。
(パオロ・マッツァリーノ氏著「反社会学講座」残照)

だから、実は豊かになった今、
泥棒の数は減少しているのです。
しかし、犯罪が多くなったように世間が感じたほうが、
警備会社や防犯グッズメーカーが儲かりますし、
実際に泥棒が完全にいなくなったわけではありませんから、
これからも被害者は出続けるわけです。
よって、世の中が物騒になった、という論調はずっと続くでしょう。

『ムダ遣いという悪徳もGDPを支えています』(P. 75)
『買ったそばから使って消える消耗品のほうが効果的。
酒やタバコのように、やめられないとまらない嗜好品は、
GDP的には理想です』(P. 76)
さらに、タバコは健康を害して医療費負担が増えると
これも医師の活動が活発になってGDPに貢献します。
まるで焼畑農業みたいな産業ですね。タバコって。

『尊敬されたいオトナたち』(P. 88)
日本では、諸外国にくらべてたくさんの意識調査が
青少年にたいして行われています。
これは、大人たちが子供に尊敬されたいという
意識の表れでもあります。
オトナたちは、昔は親を尊敬するのが当然だったのに、
父親に対する尊敬の念が見られないことが嘆かわしいと思っています。
孔子も親孝行は大切であると説いています。
著者が言うには、
孔子自身の発言に親を大切にしたという行は無く、
口を酸っぱくして親孝行を奨めるのは、
それだけ昔の人たちが親を大切にしていなかったからである、
ということらしいのです。
考えてみれば、親孝行が当然ならば、
言葉にするまでもないですよね。

コミュニケーション関連本がたくさん並んでいるアメリカで
アメリカ人全員がコミュニケーション上手かといったら
実際そうでもありません。
逆にいえば、もともと上手でないからこそ、
そういう本が必要である、というのと同じことなのです。

『かえって戦後のほうが、尊敬する人調査のトップに
父親があがることが多いのです。
昔の親は自分たちが思っているほど、
こどもたちから尊敬されてはいませんでした』(P. 94、95)
いまのお父さんたちは、昔にくらべてそれなりに善戦しているようです。
私も両親を尊敬してますよ。
両親よりも能力の高い人はいっぱいいるでしょうけど、
実際に私にいろいろとしてくれたのは、両親ですから。
尊敬だけでなく、感謝も混ざっているように思います。

『「モーツァルト効果」は1993年に発表されて
大変話題になりましたが、その後、
欧米の心理学者たちの研究により、
効果がないことが立証されてしまいました』(P. 109)
そうでしたか、半信半疑でしたが、誰も否定していなかったので
とりあえずモーツァルト効果に関する本を読んでみたことがありますが、
確かに実験をみると根拠があやしかったですからね。
(七田眞氏著「超高速モーツァルト効果」参照)

『賞は、もらう側のためでなく、
あげる側のためにある』(P. 113)
賞をもらうことは名誉なことですが、
あげる側はもっと嬉しいのです。
いま話題の芸能人、有名な人、実績のある人に賞をあげると
「あの人に賞をおくった」というだけで、
その賞がどんなものであれ、贈った側は「すごい!」と思われ、
知名度に便乗できるからです。
さらに都合のよいことに、賞とは贈る側が上の立場です。
日本には権威ある賞がたくさんありますが、
それ以上によくわからない賞がたくさん存在します。
実際のところ、これらは有名な人に賞を贈って
贈る側の虚栄心を満足させるために存在する賞なのです。

『現代の日本で博士号の看板を利用できるのは、
ビジネスでそれなりに成功した人や受勲者など、
世間的に見れば「すでにエラい人」に限られています。
すでにエラい人が、もっと世間の人から尊敬されたいがための
見栄の道具として、博士の肩書きを欲しがるのです』(P. 140)
高学歴ワーキングプアという言葉があります。
(水月昭道氏著「高学歴ワーキングプア」参照)


博士号はすごいといわれますが、それだけです。
博士号は足の裏の米粒と揶揄されます。
そのこころは、「とらないと気になるけど、とっても食えない」
なるほど、確かに、博士号なんかよりも
公認会計士、不動産鑑定士、弁理士などの資格でもとった方が
よっぽど就職先はありますね。給与も高いですし。
博士号は結局単なる看板でしかないのが、日本の現状のようです。


『若いうちはみなさん、勲章なんかいらないとおっしゃいます。
しかし、どうやら人間、老い先短くなってくると
考えが変わるらしいのです』(P. 143)
若いうちは何も持ってませんから、こう考えて当然です。
衣食住足りて心満ち足ります。
よって、年齢が上がり、給与が増えてあらかたの物が手に入ると、
何やら名誉がほしくなってくるのでしょう。
ですから、大抵若者が物欲的で、
年配者から心がすさんでいるとお叱りを受けるのは
当然のことのように思います。
これからもこの構図は続いていくことでしょう。
いつの時代も若者はまだ手に入れていないものが多すぎるのですから。

『あげればみんな、涙を流してありがたがるのですから、
費用対効果を考えれば勲章は安いものです』(P. 160)
500万円以上を公益のために寄付した者には、
紺綬褒章という叙勲があります。
著者はこれを参考にして、
『年金の受け取りを放棄した年寄りに、勲章をあげる』(P. 160)
ことを提案しています。
これはすごい発想であると私は思います。
金持ちであっても、もらえるものはもらうのが普通です。
ですが、金持ちにとって年金は、はした金程度です。
だからこそ、年金を公のために放棄したことにより
叙勲してその勲章によって公のために本人の年金放棄が
公式の場において広く知らしめられ、
また一種の敬意を払われるとしたら、
高所得者は、はした金の年金を受け取るよりも、
この叙勲を望むことであると十分考えられます。

『殺人560件を動機で分類したところ、
37%でもっとも多かったのが、
「ささいな口論や押し問答」だった』(P. 226)
口げんかは予想以上に怖いようです。
カッとなって何かで殴ったりすれば、
予想以上に攻撃力があって、
意外にあっさり殺人事件になってしまうのでしょう。

『種類や傾向が多いほど、
その分野は活気があり、健全といえる』(P. 239)
ビジネス書というのは、ジャンルがたくさんあって、
これはもうなんでもアリといった様相を呈しています。
まともな本から怪しい自己啓発書まで
色々あるのは、このビジネス書という分野が
健全に活発化しているからだと考えてもよさそうです。



■反論・誤植・注意点など■
『新築と建て替えをし続ければとりあえずGDP成長は維持できます。
日本人は、国全体の経済発展のためなら個人や家族のしあわせを
犠牲にするのも厭わない、愛国心あふれる国民なのです』(P. 73)
うわあああぁぁぁぁぁぁ!
そんなのいやだぁぁぁぁぁぁっ!

すみません、取り乱してしまいました。

ちなみに、
『持ち家では、たとえ自分で住んでいても、
自分で自分に家賃を払っていることになり、
その金額がGDPに自動的に加算される』(P. 73)
これをやるなら、主婦の家事もGDPに加算すべきかと思います。
なぜなら、交通事故にあったとき、
主婦は実際に収入がなくても
賃金センサスで給与保証を受けることが一般的だからです。
それは、家事をすることを労働とみなしているからなのです。

とはいえ、そんなことしていると、
GDPって結局よくわからないものになってしまって、
経済指標として信用できなくなってしまうんですけどね。



■最後に■
前著にひきつづき、面白い切り口で楽しめました。
著者のつっこみは大変興味深く参考になります。
ぜひ次回作も拝読したいと思います。

ちなみに、本書の文庫版が出ております。
前著反社会学講座の続編とわかりやすいタイトルに変わっていますね。
文庫版
続・反社会学講座 (ちくま文庫):



■評価■


点数合計 24点/30点満点

(1)読みやすさ 4点 
読みやすい

(2)情報量 3点 
60-120min

(3)成長性 4点 
今回も目から鱗のお話満載

(4)実用期間 4点 
むこう10年は使える知識

(5)インパクト 4点 
あいかわらず良いつっこみで面白い

(6)信頼性 5点 
信頼できる内容

レビューNo.0866
評価年月日:2010年12月9日



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