無料メールマガジン

メルマガ案内


TOPROサイト解説RO学習に関する本RO自己啓発に関する本RO仕事に関する本RO投資に関する本ROお金に関する本RO健康に関する本RO日本と世界に関する本ROその他の本


■リンク■

○skさんの模型サイト

sk-site

 


■管理者プロフィール■

プロフィール


■問い合わせメール■

こちらからどうぞ


 

カスタム検索













「たった1%の賃下げが99%を幸せにする」


  城繁幸氏著
全199ページ
1200円+税
単行本

■この本を一言で表すと
「雇用に関する日本の現状と未来のシナリオ」


■何故この本を手に取ったか?
「全員が幸せに働ける状況があるとしたら
それはいったいどのようなものだろうか、と気になったから」


■流れ
正社員と非正規

21世紀に求められる人材

雇用再生へのシナリオ



■レビュー■
『企業が好きなのは「ピチピチの若い男子」』(P. 32)
日本では就職で一番有利なのは、新卒の男子です。
なぜ、日本企業が新卒男子が好きかといいますと、
年齢が高い人は、給与が高いからということもありますが、
それだけではないのです。
職場を一つの家族として考えると、
新しい働き手というのは、「赤ちゃん」に相当します。
「赤ちゃん」だから、みんなが色々と世話してくれるのです。
ゆえに、新しい働き手は、その職場で最も年齢が下であるのが自然です。
また、世話する方もされる方も受け入れやすいのです。
しかし、例えば指導する先輩が入社3年目の25歳として、
新入社員が28歳だった場合どうでしょうか。
指導する側もされる側も、その立場に納得しているでしょう。
しかし、どこか釈然としないものがあるのも事実です。
これが人間関係の摩擦の種となることが多いのです。
だから、年齢の高い新入社員には、それよりも年齢の高い先輩社員をつけ、
年齢の低い社員に直接指導させないのが基本です。
人間関係の問題は、放置すると組織崩壊へと発展します。
そういうリスクを冒してまで、
年齢の高い社員を入れるメリットが企業にはないのです。

さらに、女子は男子よりも入社試験では不利になります。
これはなぜかといいますと、結婚して辞める人が多かったからです。
22歳となれば女性は結婚適齢期です。
勤めて数年で仕事ができるようになってきた25歳あたりで、
みんな一気に寿退社していかれたのでは、
社員教育のために企業が負担した先行投資分が回収できないのです。
現在では、結婚しても辞めない人が増えてきましたが、
それでも、子供ができればそうそう残業などさせられません。
そういった理由で遠慮しないでコキ使える男性社員が会社では好まれるのです。

よって、新卒男子社員が企業にとって欲しがられます。

『フリーターや非正規雇用といった「パイプラインから漏れた人」は、
今後どうなるのだろうか。
正直、このまま「なかったこと」にして
忘れられてしまう可能性も少なくない』(P. 36)
第二新卒が一時期もてはやされましたが、
それでも新卒が一番人気があります。
さらに言えば、年齢が高くなったフリーターや30歳以上で解雇された人は、
次の職場がなかなか決まらないことがあり、
非正規のままでいつづけなくてはならない、という可能性が高くなります。
そういう社会では、一度「パイプライン」から漏れた人は、
二度とパイプの中には戻れない可能性が高くなります。
(山田昌弘氏著「希望格差社会」参照)

『日本人労働者を「心の病」に追いつめるものとは何なのか?
それは、一言でいえば”希望のなさ”である』(P. 58)
一生フリーターのままでいつづけるかもしれない、そう考えると、
未来に希望など持てないでしょう。
また、正社員であっても、出世の道が断たれていることが分かっていて
そのまま勤め続けることは、大変な苦痛であると思います。
希望がある者とそうでない者の間に、希望格差が生じ、
これが社会を不安定にする原因となります。
なぜなら、希望があるものは不遇にあっても、
絶対に自暴自棄になりませんが、
希望がない者には、失うものがないため、
ちょっとしたことで犯罪に手を染めることもあり得ます。
道ですれ違った面識のない者と、ちょっとしたいざこざを起こして
口げんかの後に刺してしまう人がいますが、
そういう人は大抵が希望をなくした人です。
目に見えない希望というものが、社会に大きな影響を与えているのです。

『「本社正社員>子会社プロパー>フリーライター」の
3つのヒエラルキーが存在する。
はたして全員一律で、
本社社員平均年収1500万円に引き上げることは可能だろうか。』(P. 188)
現実問題として、この三者の溝を埋めることは困難です。
これは誰かの陰謀で分けられたものではなく、自然とできた格差だからです。
ただし、あるいはこれら三者を全員年収600万円にすることは可能かと思います。
しかし、それを本社正社員が望むでしょうか。
普通に考えて望まないに決まってます。
ですから、フリーライターたちが年収を引き上げるとするなら、
それは本社正社員の譲歩に期待しても無駄です。
もし、本社正社員でない者たちが、
年収1500万円になりたいのだったら、
それだけもらえるシステムを自分で作り出す以外にありません。
(荒濱一氏著「結局「仕組み」を作った人が勝っている」参照)

(荒濱一氏著「やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている」参照)

『「移民受け入れ」論は、一見すると、
誰も痛みを受けずにすむお手軽プランに見えるものの、
実際には、問題の本質を放置した対症療法にすぎない』(P. 40)
移民1000万人という話を聞いたことがある方も多いと思います。
しかし、これはピラミッド構造の最下層に
海外からの移民をいれようとする安易なプランです。
そもそも、最下層に組み込まれると分かってて日本に来る移民のレベルが
日本人のフリーターほど優秀だということは絶対にありません。
読み書きもままならない人が多いでしょう。
まず間違いなく日本語はできないでしょう。
となれば、日本語の教育が必要なります。
その教育費は誰が負担するのでしょう。
また、大規模な移民受け入れを積極的にしたことのない日本では、
受け入れのための社会的インフラが整ってません。
必ずトラブルが起きるでしょう。
実は、いまフランスで移民排斥の大規模なデモがおきています。
ドイツにいたっては、ある一定区域に大量に移民してきたトルコ人が
町の多数派となって、学校でドイツ人をいじめていたりします。
実は、移民の大量受け入れで、うまくいった国などひとつもありません。
うまくいった例があるのなら是非、提示して頂きたいものです。

さらにいえば、効率的な仕事が求められるようになって、
以前ほど仕事に人手が必要なくなってきました。
また、長引く不況によって、仕事自体も少なくなっています。
これで、大量の移民を受け入れる必要などあるのでしょうか?
日本人でさえ5%以上が失業しているというのに、
日本語もろくにできない人たちが大量に入ってきてどうするというのでしょうか。
(ピーター・F・ドラッカー氏著「ネクスト・ソサエティ」参照)

よって、移民1000万人受け入れを
「安易だ」といって著者が非難するのは妥当だと思います。



■反論・誤植・注意点など■
『現在、もっとも高賃金の45~55歳正社員が、
年間受け取る給与総額は約45兆円にのぼる。
そのうちのたった1%、4500億円を非正規雇用側に分配することで、
10万人の雇用を維持することも可能となるのだ』(P. 5)
現在の雇用は、今いる正社員を守るために
若者の非正規社員を増やして維持されています。
とはいっても、リストラは断行されているわけで、
必ずしも正社員ばかりが特権をもっているというわけではありませんけどね。
だからこそ、正社員に対して、見ず知らずの非正規雇用者のために、
あなたの給与を値引きして、再配分していいですか?と言ったところで
みんな嫌だというに決まっています。
明日の見えない不安にさらされているという点では、
正規も非正規もないので、
みんな自衛のためにお金はいくらでも欲しいのです。

よって、これを断行するというのでしたら、
まず政府が税金としてとりたて、それを再配分するしかありません。
でも、それはすでに累進課税制度という形で実現されてます。

『日本人の労働時間は昔に比べて減っている』(P. 57)
厚生労働省発表のグラフを示してあるんですが、
こんなのまともに信じるのはどうかと思います。
中小零細企業では、長時間のサービス残業が当たり前ですし、
大手企業の社員でも、
仕事を持ち帰って土日に家出働いている人は多いです。
有給とったことにして、出社してくる人までいます。

しかも、このデータによると
2006年の日本人の年間労働時間が1850時間以下なのです。
土日祝日を完全に休んだとすると、
年間だいたい240日働くことになるんですが、
全く残業せずに一日8時間しか働かなかったとしても、
240日×8時間=1920時間です。
土日祝日きっちり休んで一年間まったく残業しないなんて
そんな正社員みたことないですよ。存在するんでしょうか。


■最後に■
本書の内容は、どちらかと言えば、
雇用再生のシナリオというよりも、
雇用の現状と、これからの雇用はどうなるかという未来予測です。
ですから、何か目新しい提案というものは、
そう多くは書かれていませんでした。




■評価■


点数合計 15点/30点満点

(1)読みやすさ 3点 
文章が冗長になり気味であるが、
データを示したり、キーワードを強調したり、
改行を使うなどして読みやすくなるようにしている

(2)情報量 2点 
30-60min

(3)成長性 2点 
社会で起こっている構造問題は
大概、根が深いものであるので
簡単に解決できる問題ではない、
著者の描くシナリオを知識として知っても
個人ではどうもできない
しかし、こういうことを知っている人が多くなれば
社会全体が動き出すことも可能となるだろう

(4)実用期間 4点 
今後10年以内に労働者は二極化する

(5)インパクト 2点 
だいたい予想の範囲内

(6)信頼性 2点 
データを示してあるけれど
そこから読み取った著者の主張が
ときどき主観的であるように思う


レビューNo.1160
評価年月日:2010年12月9日



本ページトップへ戻る

カテゴリトップへ戻る